トレード手法やシステムの優劣を付けるためには、それらから得られた成績について客観的に評価しなくてはいけません。

単に勝率が高いからという理由だけでその手法を採用してはいけないのです。
今回は、色々とある評価方法について考えていきましょう。

ウシ君
トレード手法は統計的に考えないとダメだよ。

勝率

勝率とはズバリ、何%の確率で勝ちトレードになるのか?です。

勝率が高いということは、非常に優れた手法であると解釈されがちではありますが、一概にそうとは言えません。

例えば、勝率9割の手法があったとします。
この手法で勝つときは5pips取れる一方で、負けるときは100pipsマイナスになるとしたらどうでしょうか?

この手法で取引を続けていたら、トータルでマイナスになりそうなことは感覚的にわかりますね。

では、実際にどれくらいマイナスになるのか計算してみましょう。
この手法で10回取引した場合は、

9×5(pips)-1×100(pips)=-55pips!!

勝率が9割なのにも関わらずトータルでマイナスです。
つまり、いくら勝率が高くても負けた時の損失額がそれ以上に大きければ、トータルでは利益とならないのです。

勝率が高いと気持ちがいいものですが、それが決して利益に結びつくとは限らないということを覚えておきましょう。

クマ君
勝率が高いってだけじゃダメなんだね。

ウシ君
勝率が高いと精神的には楽だけど、それがトータルで勝てるかどうかは別問題なんだ。

損益率

損益率とは、勝ちトレードの平均額(pips)÷負けトレードの平均額(pips)で示されるもので、簡単に言えば勝ったときと負けた時の金額(pips)の比率を見る指標です。

例えば勝ちトレード時の平均利益が2万円で、負けトレード時の平均損失が1万円ならば損益率は2.0となります。

この損益率も高いに越したことはありません。
しかし、どんなに損益率が高くても、勝率が低ければトータルでマイナスとなります。

ウシ君
つまり、トレード手法の理想は勝率が高くて損益率も高い手法になるね。
まぁ、そうそう見つからないけど・・・。

期待値

期待値とは、1回あたりの取引でどれだけの損益(pips)が得られるのかを見る指標です。

計算式としては

期待値=(勝率×平均利益)-{(1-勝率)×平均損失}

で表されます。

この期待値こそがトレード手法を評価するための最もベーシックな判断材料です。

Point!
期待値が正の値ならば、そのトレード手法には正の優位性がある。
逆に期待値が負の値ならばそのトレード手法には負の優位性があるということが客観的にわかります。

つまりは、勝てる手法なら期待値は正で、その手法の精度が良くなるほど値が大きくなっていくわけです。

期待値の式からもわかるように、期待値は勝率と損益率の関数です。
期待値を上げるには、勝率か損益率のどちらか、もしくは両方を上げてやらなくてはいけません。

手法の検証でも、実際の取引結果を見るにしても、まずは出しておきたい数字がこの期待値だと言えます。

ウシ君
期待値が正じゃなければトレードする価値の無い手法だよ。

プロフィットファクター

プロフィットファクターとは、一定数のトレード結果における総利益と総損失の比率を示した指標です。
計算式は下のようになります。

プロフィットファクター=総利益(pips)÷総損失(pips)

上の式より、プロフィットファクターが大きければ大きいほど損失の割合が少ないトレードが出来るという意味になります。

例を出してみましょう。

■例1.100回トレードした結果、総利益100万円、総損失50万円だった場合

この場合の純利益は50万円、プロフィットファクターは2.0となります。

 

■例2.100回トレードした結果、総利益200万円、総損失150万円だった場合

この場合の純利益は50万円、プロフィットファクターは1.33となります。

 

1と2を比較するとどちらも100回の取引で50万円の純利益を出していますが、プロフィットファクターを比較すると1の方が高いです。

これは、1の取引の方が小さな損で大きな利益をもたらした結果です。
総損失が小さく、総利益が相対的に大きい=プロフィットファクターが高いということは積極的にリスクをとっていける戦略になります。

ですので、純利益(pips)が同じであっても、プロフィットファクターの値が大きいほうが良い手法であると言えます。

また、トータルで損失の出る戦略の場合はプロフィットファクターの値が1.0よりも小さくなります。

この場合はトレードするだけ損失を出す結果になりますので、実際には使えない戦略として却下する事ができます。

R倍数評価

R倍数評価は、バン・K・タープ博士の本に載っている評価方法です。
RとはRISKの頭文字を取ったもので、その名の通りリスクを主眼に手法やシステムを評価します。

プロフィットファクターと近い考え方なのですが、違いもあります。
例を出しながら解説していきます。(例の単位は円ですが、pipsにしても大丈夫です。)

■例1.損切額を5000円に設定したトレードで、10,000円の利益を得た。

この場合のR倍数は、トレードの利益である10,000円から初期リスクである5,000円を割って計算します。つまり、10,000円÷5,000円=2で、2Rとなります。

 

■例2.損切額を5,000円に設定したトレードで2,500円の損失となった。

これも例1と同じ考えです。
トレード結果である-2,500円から初期リスクの5,000円を割って計算して
-2,500円÷5,000円=-0.5で、-0.5Rとなります。

 

上の2つの例ののR倍数評価は、個々のトレードにおいて初期リスクの何倍の利益/損失を出したかを見ることができます。
もちろんこの数字が大きいほうが良いトレードで、勝ちトレードの場合R倍数はプラス、負けトレードの場合R倍数はマイナスになります。

複数回のトレードにおけるR倍数評価

例1.2では、個々のトレードにおけるR倍数評価でした。
では、複数回トレードしたときのR倍数評価を見てみましょう。

■例3.あるシステムで50回トレードをしたところ、以下の結果となった。

トータル:600,000円
平均損失:40,000円
1回のトレードの最大損失:50,000円

この場合は、純利益である600,000円から1回のトレードの最大損失である50,000円を割ってR倍数を求めます。(平均損失で割るやり方もあります)

そしてR倍数は600,000円pips÷50,000円=12Rとなります。
つまりは、50回のトレードで最大損失額の12倍の利益を出せたという結果です。

この12Rをトレード回数である50で割ると、期待R倍数値が算出されます。
このケースでは12R÷50回=0.24Rです。

つまりこの手法では、1回のトレード当たり最大損失額の0.24倍の利益が見込めるということになります。

タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門によると、期待R倍数評価の目安として以下の様に書かれています。

期待R倍数評価の目安
0.16~0.19質が悪いがトレードは可能
0.20~0.24平均的
0.25~0.29良い
0.30~0.49優秀
0.50~0.69とびきり優秀
0.70以上聖杯

この例3の手法は平均的ということですね。

R倍数評価はトレードの評価をするだけでなく、ポジションサイジングにも応用することができます。システム、裁量やシステム問わずに身につけておいて損はない評価方法だと思います。

ウシ君
R期待値を使った手法の評価は分かりやすくて良いよ。
1回のトレードにおいて、トレードリスクの何割を期待値として狙えるかが明確になるからね。
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